褒めて、見て、惚れて。





ツナん家にいるボウズが言った『ボンゴレ式正月合戦』とかいうゲームに参加した後。
自分のねーさんを見て気を失った獄寺がしばらく目を覚ましそうになかったから、
俺が獄寺を家まで運ぶ任務を請け負うことになった。ディーノっておじさんが行こうかって言ってたけど、
俺はその申し出を丁寧に断って。
なんでか、こっちは全く持ってそんな気はないのに異様にライバル意識してくる獄寺には悪いけど、
獄寺と少しでも一緒にいたかったから。まぁ、何だかんだで今日獄寺を無理矢理初詣に連れ出した身として何だけど、
好きなヤツとは機会があるならそれを全てかけても出来るだけ一緒にいたいってのは普通だろ?

そんなこんなでゲームが終わって帰る頃、気付いてみれば外は大分暗くなってる。
土手を歩きながら、星が輝きだした空を見上げて、今日も冷えるかなーと思ってたら、
俺の背中で気絶してた獄寺が目を覚ましたみたいだ。
「起きたか?」
そう俺が訊ねたのに応えはせず、獄寺はしばらく俺の背中でぼーっとしてたみたいだけど、
ふと首に回っていた腕の力が強くなったと思ったら。
「…あぁ…?…なんでお前におぶられてなんていんだよ。」
うわー…やっぱ不機嫌なのな。目覚めたてで声がちょっとかすれ気味なのにグッとクルものがあったけど、
それ以上に不機嫌オーラが見えるように漂ってきて、俺は苦笑いするしかない。
「だって獄寺が気絶すんだから俺が運んでやるしかねーだろ?俺のがツナより力あるし。」
「…ったりめーだ。10代目に気をかけるなんてこと、末代までの恥になる。」
いや…気絶してるだけで迷惑てか心配はかけてると思うんだけどな…とかいうと、
きっと獄寺のただでも悪い機嫌が地面を這うっつーか潜り込むくらい低くなっちまいそーだから言わないでおいて。
意外と(いや、さっきまで気絶っつーか寝てた?せいもあるかもしれないけど) 体温が高い体を丁寧に降ろしてやった。
立った時の足取りもしっかりとしてるから、まぁ大丈夫そうだな。
俺が獄寺の調子を見ている間に一度大きく伸びをしてから俺に構う事なく先を歩いていく獄寺を、
俺はちょっと後ろから付いて歩いた。
そうだ。
「そーいえばさぁ獄寺ぁ。」
「何だよ。」
相変わらずの無愛想な返事だったけど、まぁいつものことだしな。
「すごろくやった時さぁ〜…お前、誰も褒められないって言ったけど、マジで?」
「……あぁぁ?!」
…何だかほんとに機嫌悪いらしい。でもどーしても俺は獄寺の口からあることを聞き出したくて。
「俺のこと、何でも良いから褒めてくれねーか?お前に褒めてほしいなぁ〜って。」
俺のお得意スマイルでねだってみたけど、瞬間、獄寺の目が見開いて体が固まったのがわかった。
そして瞬きした間に顔は伏せられて。
その表情は伺うことは出来ないんだけど…うーん……これはもしかしたらブチギレられちゃうかなーとか思って
いつもの花火に備えて受け身の体勢を取ろうとしたその時。
「……今日の羽根つきん時思ったんだけど。」
あの怒りっつーか不機嫌なオーラだったから、まさか応えてくると思ってなかったから、
俺は咄嗟に受け身の姿勢を崩してしまったわけで。
「………お前が野球やってる姿は、褒めてやってもいいかな…とかは思う…」
その言葉に、俺が今度は固まってしまった。そんな俺に気付いているのかわからないけど、
伏せていた顔を上げて、今度はまっすぐ俺を見てきたから、俺と獄寺の視線が絡み合う。そして。
「誰でも本気になった時の目ほど、良いものはないからな。お前の本気の目は嫌いじゃない…良いと思うぜ?」
なんて言ってきて。


……まいった。まさかそんな事を言ってくれるとは思わなかった。


段々と頬に熱が昇るのを感じて、獄寺の視線を見返せなくて今度は俺が顔を伏せる番になってしまった。
今顔を上げたら絶対笑われる。きっと獄寺は大したコトを思わずに言ったコトなのかもしれないけど
俺にしたらさっきの獄寺の言葉ほど、視線ほど良いモンはない。とか思った。
あんな澄んだ瞳して、そんな事言われちゃったらさぁ…
だから、もう抑えられなかった。
「!!ちょ…っ!やまもとっ!」
歩幅一歩分の距離を一気に縮めて俺はすっぽりと腕に収まるサイズの獄寺をしっかりと抱きしめて。
抵抗もあったけど、俺は持ち前の運動神経と体力で逃がさないように捕まえておいて。
「今度、俺の投げる試合見に来てくれよ。お前が褒めてくれた本気の俺を見せて、絶対獄寺を惚れさせてみせるから。」
確信…というよりさっきの獄寺の言葉で自信持っちゃってそんなコト言っちゃったりしてな。
でも獄寺も、何だかんだで俺の腕に収まってしまえば、
「出来るもんならやってみろ。俺は手強いぜ?」
なんて、ニヤリとした顔をして言ってきて。

上等だ。お前のためなら俺はどんな努力だって苦労だって、何だってしてやるし
いくらでも本気の俺を見せてやるんだからな。そして惚れさせてみせる。それは何だか絶対的な自信。
















標的31ネタ…を使ってみたつもりだけどどこが!ってカンジですか!はいスミマセ…!(開き直り早!!)
まぁ関係あるって言えばですね。すごろくで仲間をほめろってヤツ。
あれをネタに、獄寺くんに山本を褒めてもらおうという企画の元書いてみたんですけどネ。
またも甘ったるいモンになってしまいましたねうおおん。
まぁほめるなんてことごっきゅん的には屈辱だーとか思って例え2人ン時でもやりそうにないけど
こんなコトあってもいいよねーとか。ifだよif。ネ!!……っちっくしょ〜〜う強制終了ー!!(逃)

2005.1.12.