寒い日のいたずら





「あー…ちくしょう寒ィ…!」
キャバッローネのヘナチョコボス、ディーノに連れられて来たが、いい加減長い山道を歩いてきたのに
目的の場所も知らされてないから、先が読めない苛立ちが生まれてくる。
それに合わせて慣れない寒さで気持ちも限界だったから、俺は叫ばずにはいられなくて。
「まーまー。ディーノっておじさんももーすぐ着くってんだから我慢しろよ。」
せっかくこんなたくさんの自然があるとこなんだからちょっとは楽しめよ。
なんて呑気なコトを、俺の後ろをふらふらと付いてきている山本が言う。
なんでこいつこんなのんびりしてられんだ!と俺の内心は呆れというか怒りというか
よくわからないものが渦巻いていたけれど、言ってもしょうがないことだったから
俺は一つ溜め息を溢すだけだった。

それにしても寒い。イタリアの中でも暖かい地方に住んでいた俺にとっては日本の寒さは未知の世界だ。
しかも普段生活している町と違ってここは山の中。いつもとはまた違った寒さを感じる。
内心ではもう帰りたいとか、なんでこんなところに…とか思うコトは色々あるけど
10代目が来てるなんて言われたら俺も行かざるを得ないじゃないか。
…と、せめて寒さを受ける面積を出来るだけ小さくしようと体を縮こまらせて色々考えこんでいたら、
ふと後ろから熱い視線を感じた。
「…何だよ山本。」
たまによくわからない、ねっとりとした…っていうか、熱い視線ていうのかそんなモノを
コイツは投げかけてくるんだけど。こういう時山本は結構とんでもないコトをしでかすから
少しの警戒心と脅しを混ぜた視線を投げかけながら俺は山本を振り返ると、
山本はさっきまでの視線が嘘のようにいつものヘラリとした笑みを浮かべた。
そして、すいっと近付いてきたと思ったら次の瞬間には首元のマフラーを捲られて、
開いた首筋に冷たい空気と共に感じたのは熱く濡れた感触。
「…ぇ…っ?」
突然の出来事に俺は大きく目を見開くと、髪で隠れている耳元あたりで
「いや、マフラーで獄寺の可愛いうなじが見えないのが残念で、つい…」
と、悪びれた様子もなくさらりと言ってきて。
ちょっと低めに響いた声とその言葉に、咄嗟にはどう反応すれば良いのかわからなくて固まっているところを
追い立てるように再び山本が唇を近付けてきた。わざわざ指で髪を掻き分けてさ。
そう、今度は運悪く耳のすぐ下に。
「ひっ…!?」
ヤバい。
腹立たしいことにこっそり髪で隠していた俺の弱点を吸われ、こいつの唇に反応してしまった。
体を大きく揺らして、うっかり恥ずかしい声を漏らしてしまったことで知らず顔が赤くなってきたのが
嫌でもわかってしまって自己嫌悪。口を手で押さえてみたけど時はすでに遅しというか。
そんな俺を知ってか知らずか山本はしばらく俺を見た後、
「おー獄寺って感度良いのなー。もうちょいやってもいい?」
なんて言ってきて。
その言葉でプチンとキレた。
「てめぇ…調子に乗ってんじゃねーぞ!果てろ!」
さっき感じた熱い視線はこのいたずらをするためなのかと思うと腹が立って仕方がない。
今はともかく怒りと共に 、「うおー怖ぇ怖ぇ!」とか全然怖がってない素振りで逃げる山本を追うばかり。

山本を追う途中にヘナチョコディーノを追い抜くことになって、
「おーい、あまりはしゃぐと疲れて後で大変な目にあうぞー。」
とかいうのんきな声がかかったが構いはしない。ヘナチョコとは鍛え方が違うんだぜ?
















標的30ネタ…というか30の獄の服からの妄想で。(笑)
本誌のストーリーの前に、こんなイチャコラあってもいんじゃなーい?
だって…ねぇ…あのマフラーめくりたいんだもの…悶々。

あともっさんのディーノさんの呼び方、おじさんにしちゃった…!(笑)
標的28でツナのおじさんとか思ってるみたいなんで。おじさんには到底見えないんだけど。な。
2004.12.31