嫌いじゃない。
「獄寺。」
「ごくでら。」
「ゴクデラ。」
いくら冷たい態度を取ろうが軽くあしらおうが笑みを絶やさず俺に構ってくる。絡んでくる。
つっかかってくる。触れてくる。
ああうっとおしいお前なんて(すごく不本意だけど)十代目の親友という立場じゃなかったらブッ飛ばしてやるってのに。
何故俺に構う一人にしておいてくれ。
そんな俺の心の叫びがわかったのか、アイツはまたヘラリと笑ってこう言った。
「だって声かけてやんねーとお前、人に甘えたりなんかしねーだろ?」
甘えるだぁ?コイツ何言ってやがんだマフィアである俺に甘えなんているもんか。
甘えは時に命取りになる。
甘えなんて言葉は俺達マフィアには必要ないもんなんだよとりあえず俺に構うな本当にさ。
でもな。
でも少しだけ、ほんの少しだけ、喜んでる自分がいるんだ。
心のほんの片隅に。
俺に気をかけてくれる奴なんて今までいなかったからかなぁ。
ほんの片隅にあった柔らかい部分がちょっとだけあったかくなる気分。
ホントはすごい不本意でたまらないんだけど、今の平和ボケしてるこの国にいる間だけなら
コイツに流されてみても良いのかな、なんて。
少しくらいなら、構われるのは嫌いじゃないぜ?
好きとか素直に言えないっぽいごっきゅんの「嫌いじゃない」は好きってコトの同意語だと思います。
何か「好き」って言われるより照れながら「嫌いじゃない」とか言われる方がキュンキュンするヨ!(笑)
2004.12.14